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(Orchid Cultivation at balcony)


室内から向かって左側のベランダ(夏の様子)広角レンズを使って写したので広く見えますが、両端までの長さは、3mです。2023年8月8日写す。
蘭の鉢を150から60に減らしました。洗濯物を干すスペースが増えました。右下に見える噴霧器は、水やり用と肥料やり用です。



室内から向かって右側のベランダ(夏の様子)長さ2.5m 2023年8月8日写す。


私のラン歴は約30年です。関東地方の南向きの集合住宅です。温室はありません。いろんなランを購入しましたが、殆どのランは枯らしてしまい、大型のカトレア交配種が生き残ったという状況です。最近まで惰性で栽培をしているような感じでした。
転機が訪れたのは、2017年6月28日に、神奈川県立フラワーセンター主催 セミナー 「花を咲かせる洋ラン栽培」の講座を聞いたことから、始まりました。
講師は、国際園芸の石井さん

ここで私の得た貴重な情報。
1)水苔植えの場合、鉢の下の方は柔らかく植え、上の方は堅く植える。
根は固形物に当たるとそこで成長が止まることがある。

2)最近は水苔より、ニュージーランド産のバーク植えが成績がよいとのこと。バーク植えで注意すべき点は、上から棒で軽くつつくようにして、隙間が無いように植える。(下で書きましたが、バークは上が乾いているようでも下が濡れていることが多く、私のような、水やり好きな人間にとって、バークはダメでした。シンビジューム、大型のカトレア交配種はバークで好成績です)。

3)肥料でお勧めなのは、ボブピータース 18:18:18の4,000倍液。活力剤としてはバイオゴールドがお勧め。

家に帰って、大型カトレア8個、根鉢の状態で抜いてみました。私は30年間、鉢の上から下まで堅く植えるやりかたでした。石井さんのお話しに基づき、下の方の水苔を取り去って柔らかくして、鉢に戻しました。またボブピータースとバイオゴールドも施してみました。

その年の8月下旬大型カトレアの8株が、これまで見たこともない旺盛な成長を遂げて、昨年までの株の高さを大幅に上回る結果となりました。びっくりしたあと、嬉しくなりました。

ベランダのランの置き場の整備を行ないました。棚を木材でがっちりしたものを工作して作りました。寒冷紗もきちんと張り直しました。

弱光を好むパフィオなどは、75%遮光(50%遮光を2枚重ねる)にし、普通の50%遮光と2種類の遮光環境を作りました。75%遮光も国際園芸の石井さんに教えて貰いました。

「植物の体の中では何が起こっているのか」(動かない植物が生きていくためのしくみ)嶋田幸久 萱原正嗣 共著という本を買って読みました。この本を読むきっかけになったのは、「タローさんの洋蘭栽培」というサイトで、冬は室外に出してよく日光に当てること、と書いてあるので、何故日光に当てる必要があるかという疑問からでした。

 植物の葉では、照りつける太陽の光のエネルギーを活用し、葉の裏側の気孔から取り入れた二酸化炭素と根から吸い上げた水から炭水化物を合成(光合成)し、全身に栄養分として送り届けます。

光合成とは、光のエネルギーを元手に、化学エネルギーを蓄えた炭水化物を作り出すことともいえる。

炭水化物は炭素(C)を含む有機物であって、植物だけにこれを作る機能がある。動物には有機物を作り出す機能はない。

私は、中学校の夏休みの自由研究のテーマに、「アサガオの葉の一部に銀紙を貼り、銀紙を貼ったところでは、デンプンが出来ない」実験をしたことがありますが、何のためにそういう実験を行なったか理解できませんでした。

中学校の理科の時間に光合成(私たちの頃は炭酸同化作用と言いました)のことを習いましたが、生物の中で有機物を作れるのは植物だけ、その有機物が植物の体に栄養をもたらしている、という基本的なことがらの認識が出来ておりませんでした。

園芸というと、「水やり」と「肥料」のことに注意が集中してしまうのですが、「光合成の結果として炭水化物が出来、それが植物の栄養となり植物を強くすること」が一番先に覚えるべきことではないか、と今になって実感として言えます。

ランは温室が必要ということが頭に浮かびます。それも光ではなく、温度が保てる、ということに注目してしまいます。

我が家の環境は生育期は、ベランダに出して栽培しますから管理は楽ですが、冬が問題です。過去私は部屋の中の南側に面したところに棚を置き、そこにすべてのランを閉じ込めて置いていました。水やりは週に一度、室内の蛇口まで一個一個運んで水やりしていました。非効率であるだけでなく、種類毎のみずやり加減がうまくできない、冬の夜間の室内温度が同じなので、種類毎の温度管理が出来ない、といった問題があるのにそういうことを考えもしませんでした。

30年間このようにやっていてきて、大型カトレアとか中型の中温性のラン、シンビとかノビル系デンドロのように外に置きっ放しのランは何とか咲くのですが、小型のカトレアは全滅、パフィオは観葉植物となり、蘭園から購入した殆どのランを枯らしてしまいました。

今年になって、国際園芸の石井さんのお話しを聞いて、その通り実際にやってみて、目に見える成果が得られたことで私は突然に目が覚めました。

我が家の冬の管理方法。晴れた日の朝は気温は低いですが太陽が昇って9時半頃、15℃になるので、殆どすべてのランを日光に当てるため外に出す。約60鉢のランを40分かけて運び出す。午後3時頃室内にやはり40分かけて取り込む。水やりは運び出す時に状態を見てやる。外に出すことで光合成が活発化して、植物体の強化につながると思います。鉢がよく乾きます。ランを取り込むときに、葉の色を見ると、緑の葉が黒ずんでいます。多分この色は、光合成がうまくいっているからだと思います。

2020年4月30日追記
水苔をやめてバークにしたものは、シンビジュームとか、大型のカトレアは好成績ですが、小型のものは、バークで失敗することが多かったです。夏は生育がよいですが、冬になると、段々勢いがなくなるものが多いです。こういうものを鉢から抜いてみると、根は張っていない、鉢の下の方のバークがびしょびしょに濡れている、ということから、バークは上の方が乾いているようでも、下の方は濡れているので、水やりが難しいということが言えると思います。光合成のことですが、光と根からの水分を利用して光合成が行われるわけですが、水分過多になると、根が吸収しきれず、そのために根腐れを起こすと言えるでしょう。光だけ当てれば解決ではなく、根からの水分補給が適切でなければならない、ということだと思います。
私は、2019年の春から、胡蝶蘭は全部水苔植えにしました。また2020年の春の植え替え期には、シンビや大型カトレアのほかは全部、素焼き鉢+水苔に変えました。パフィオはプラ鉢+水苔にしました。水苔は、表面を触ると、乾いているか濡れているかすぐわかるので、我が家の場合水苔がいいと思います。ただ水苔植えで注意する点ですが、上の方は堅く、下の方は柔らかく植えるといいそうです。
国際園芸の石井さんに教えていただきました。水苔を下の方までびっしり堅く植えると乾きが悪くなります。また根は下の方が堅いとそこで成長が止まってしまい、根が鉢全体に回らなくなるとのことです。

2020年9月15日追記
みずやりのことですが、上記で水分過多になると根が吸収しきれず、根腐れを起こす、と書いています。真夏は暑いこともあり、ひと鉢ひと鉢水苔を触って乾きを見るのが面倒になって、つい全鉢に水をやってしまいます。夏だから少し水やり過多でも大丈夫だと勝手に解釈しながらついやってしまいます。これが失敗の原因だと最近ようやく気づきました。
水やり過多ですと、成長が止まり、段々衰弱してきます。
根が水分を吸収するために、ポンプのような動力源がないのにどうやって水分を吸収するのか調べたところ、浸透圧の原理を利用しているらしいです。浸透圧とは、「水溶液が水を吸い込もうとする力のこと」(植物の体の中では何が起こっているのか 嶋田幸久 萱原正嗣共著P148)だそうです。つまり水の中に水に溶ける物質を入れるとそのことが浸透圧という圧力を生むという原理があるのではないだろうかと私は勝手に解釈しました。例えば水やりで水が鉢内に入り、根には水分を含む溶液があり、両者は根の細胞膜で仕切られています。この場合根の外にある水溶液の圧力と、根の中の水溶液の圧力を比べると、根の中の水溶液の圧力が高く、この圧力の差により、根が外部の水分を吸収するらしいです。鉢内の水分が過剰な状態が続くと、根の機能が阻害されて、根腐れを起こすのではないかと思います?

2022年4月16日追記
これまで冬から春先まで約150鉢の蘭を、ベランダの気温が15℃を超えたら、室内からベランダに出して、午後3時にはまた室内に入れるという作業を繰り返しやってきましたが、高齢化によって、この作業がきつくなり、大きく重いもの、花が咲かないものは、市のゴミ収集の規則にのっとり、処分しました。現在約65鉢を出し入れしております。蘭展に行ったり、蘭屋さんの温室を尋ねるのが楽しみでしたが、そこで蘭を買うと鉢が増えるので、今では行かなくなりました。約半分以上処分しましたので、ベランダの蘭置き場もいらなくなり、物干し用のスペースが増えました。これからは更に高齢化が進むため処分する蘭の鉢がもっと増えるでしょう。